鹿児島の人や歴史、文化を独自の視点で切り取っていくフリーペーパー「アンダーズ・ハイ」。

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鹿児島再生論 vol.4

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お隣の県、宮崎県では、新しい知事が盛んに声を上げている。
「宮崎をどげんかせんといかん」と…
その声は、多くの人の共感を呼び、県民の意識も変わろうとしている。
「どげんかせんといかん」その言葉は、地方の存在自体の危機感を訴え、県民の自覚を促し自分達で変えていかねばという事を訴えている。
また、賛否両論ある知事のメディアでの露出だが、県をアピールし、宮崎の良さを広め、全国で認知度が上がるにつれ、宮崎の人たちは自分達に誇りを持つようになっているように思える。こうした動きは地方にあって見習うべき点が多々あるのだと思う。

…鹿児島では、宮崎とはまた違うアピールの機会として、今年の大河ドラマ「篤姫」がある。
幼年期を鹿児島で過ごした篤姫を描くと同時に鹿児島の風土も描かれる。
これは鹿児島の良さを多くの人に知ってもらうチャンスでもある。
認知度が上がり、観光をはじめ、経済的な効果をもたらしてくれるものなのかもしれない…だが同時に僕ら鹿児島に住む者が鹿児島の事を深く知るのに良い機会なのだと思う。
「篤姫」の幼少期が鹿児島であり、舞台になる事は知っていても…どういった人であったのか、また当時の時代背景など知る人は、まだ少ない気もする。

そうした多くの事柄を知る事で、薩摩と呼ばれたかつての鹿児島が見えてくると思う。
多くの偉人を輩出し、時代を作ろうとした…その思いや心意気が伝わるのだと思う…
それらを知る事で、僕らは1つの「誇り」を持つ事が出来るのではないだろうか?
それに、遠方より訪れた人たちに、鹿児島の良さや篤姫の事を聞かれた時に答えられないというのは寂しい…

格差社会、地方間の競争、若者の都会への流出、文化の低迷、少子高齢化に伴う集落の消滅の可能性…
地方の特色そのものが危機に瀕している。鹿児島はそのループに既に取り込まれてきている…
そうした時代の流れの中、今、自分の根幹として、アイデンティティを再確認する時が来ているのだと思う。生まれた場所に誇りを持つ事は自己の確立に繋がる。
相反して、都会的なものへの憧れを背景に同一化も進んでいく…
確かに鹿児島は田舎なのだと思う…変わらなければならない事もあるだろう…
しかし、都会的なものとは何か…?

僕が思うのは、それは施設でも娯楽でもない…広い視野、感性を持った人たちが自ら何かを生み出せる場所…言い換えれば、人の感性が豊かになっていく場所を指すのだと思う。
単に多くの建物が立ち並ぶ都会的な場所ではなく、人の力に満ちた場所…表面的に都会的ではなく、鹿児島は別の意味で、良い街を目指すべきだと思っている…
アイデンティティを持ち、豊かな感性を持った人たちが増え、街に多様性が生まれていく…そして、育まれた「made in satuma」ともいえる才能を外へと広めていく。

そうした動きが活発になり、広がる事で、遠方に散らばっている多くの人が還ってくる場所が作られていけばいい…
別の場所で色々な経験を経た若い人が帰ってくる事で、また更に広がりを見せていく…
理想であるのかもしれないが…感性を発信し、文化が定着し、また人が還ってくるサイクル…
再生し、発展していく為に「共生」という事をこれから考えていきたい。


「鹿児島が好きだ。」

なかなか声を大にして言えないかもしれない。特に若い人たちには、どこか照れる所もあるだろう。
しかし多くの人が心の奥底に持っている気持ちでもあると思う。
まず、身近な人と鹿児島の事を話して欲しい。
良い事も悪い事もすべてを含め、色々な事を話し合って欲しい。
すべてはそこから始まる…
そしてその気持ちを表現していく…
小さな事であっても始める事で、何かが変わってくるのだと思う。

再生への答えは傍に寄り添っている…

text by chabin.【鹿児島共生論へ続く】 (2007.11月発行 under’s high vol,4より抜粋)


鹿児島再生論 vol,3

テーマ:archive

「鹿児島再生論 vol,3 」

自分は洋服店を生業としている。その始まりは10数年前…天文館の片隅にあった廃墟のようなビルからだった。
…そして、今、僕は改めて原点であるそのビルを思い返す…

当時、いつかお店をやりたいと夢を持ちつつも現実では何1つうまくいかない毎日…長続きしない仕事… 自分自身の能力の無さに落ち込み、理想と現実にジレンマを感じる毎日…不安で仕方が無かった。
このままで終わってたまるかという思いだけがあった。でも何も出来ない…コンプレックスの塊のような人間だったと思う…

 そんな中…次の仕事を探す為に街を彷徨っていて1つのビルを見つけた。朽ちかけた雑居ビル…見ると入居者募集の張り紙…天文館で考えたら信じられないような家賃だった。
僕の中に電流が走る。この家賃なら何とかなるのではないか…?やるなら今しかない…
その日のうちに契約した。それから友人らに手伝って貰いながらこつこつと手作業で内装をして、見真似で商品を買い付け、2ヵ月後…何とか店をスタートさせる事が出来た。 本当に勢いだけだったと思う。でも、どこかうまく行く気もしていたし、何かが始まる気がしていた…

何しろ、当時は天文館で店を出すという事は、大きな資本力が無ければ出来ないという認識があった。(勿論、現在もだが)
そうした中…お金は無くとも情熱とセンスを武器とした多くの若者が集まってきて店を作るという…今までに無いレジスタンス的なムーブメントが始まった気がしていたのだ。
そうして、自然に集まってきた若者により、様々なお店が作られ、猥雑とした…まるで九龍城砦のような独特の雰囲気のビルが形成されていく…

改めて、今、冷静に考えると、あの時、あのような場所が作られ、多くの個性的なお店が存続出来た事が不思議なような気がする。 当時は気付かなかったが、その頃の街には活気があり個性を容認する空気があったように思える。 (今ほど、お店も多くなかったのだが、逆に好奇心を持って面白いものを探す人が多かったのだろうか。)
そういった動きと街がシンクロしていたような気がする。
今、こうして存在する僕は、街に育ててもらったのだと思う…

…諸事情により、数年の後にビルは解体され、結局は、大きく鹿児島を変えるまでの大きなムーブメントには成りえなかったのかもしれない…
だが、僕を含め、そこで店を始めた人間の最初のステップになった事は間違いないと思う。現在、それぞれに移転したお店は街に根付き、文化の一端を担っている…

今、そうしたステップとなれる場所や育てるといった空気があるのだろうか…
…理想を持っていても現実を前に進む事が出来ないという空気が蔓延している現状の中、ここ鹿児島でも、自分でも出来る。頑張れば何かを始める事が出来る…若者が夢を描ける環境を作っていく事が肝要だと思うのだ。

しかし単にチャレンジショップ的に家賃などを安くすればいいかというとそうではない。
誰もがチャレンジ出来るという空気は必要だが、イージーではなく、自分で動かねば何も始まらないという事を念頭においた…ビジョンを持った人間を育てる事が大事となってくると思う。(実際、現状は厳しいのだから、その現実と戦える強さ、心の芯を持っている人間で無ければならない。)そういった感性を育むシステムを構築し、そこで頑張る若者の姿を見て、より若い人たちが自分たちも何かをしたいという連鎖を生み出していく事を考えたい。
                              
そして、それは、大きな商業施設では難しい事だと思う。
多くの人間を対象とする施設ではどうしても一般的になり、広く薄くならざる負えない面がある。
便利ではあるが、個々の感性を育む事はなかなか出来ない。

若者を育み、文化を創る…それは、身近であり多種多様な感性が入り混じり、心を触れ合わせる「街」で無ければ出来ない事だと思う。

逆にいうと「文化」を生み出せない街は街ではない。

その文化を生み出す「人」を育む事が出来ずして、どうして街といえようか?
…このままでは、今の幼い子供たちが大きくなる頃には天文館は最早、特別な街で無くなっているかもしれない…
物心付いた頃から、数多く商業施設が点在する環境では、かつて華やかだった場所としてしか認識されないだろう…そうなってもおかしくない状況が既に出来つつある。

しかし、それでは寂しい。僕は、アイデンティティに深く根付くのは「街」であると思っている。鹿児島を離れてもそれぞれの心に宿り、支えとなるそんな気持ちを持てるような街であって欲しい…そう願う。街は、その責務を担っているのだと思う。

「街とはどうあるべきか…」大人も子供も関係なく… 今、一度…考えて欲しいと思う。
脈々と続く鹿児島の未来の為に…  【続く】

text by chabin.【under's high vol,3 (2007 11月発行)より抜粋。
 

鹿児島再生論 vol,2

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「人」の力…古くは、「郷中教育」という薩摩独自の教育方法で育まれていた。
「嘘をつくな」「負けるな」「弱い者いじめをするな」これらの教えを核として心の強さを育み、やがてその力が日本を変えていった…
今の鹿児島はどうだろう…
どこか都会への憧れだったり、都会的なもの考えの摸倣だったり、そうした価値観で人が形成されている気がする。その結果、鹿児島を軽んじ、都会的なものへの「無いものねだり」になり、元々あった良い面を失ってきたように思える。

新しいものが出来ると物珍しさで行列が出来るが定着すると消化され、離れていく…そして、また新しいものを求める…「鹿児島には、~が無い。」「~が無いから田舎だ。」良く聞く言葉であり、今の鹿児島を象徴しているようにも思える。
その姿には、かつて培われていたはずの鹿児島の持つ熱い気概は感じられない…

僕の好きな唄にこんな歌詞がある…
「ダンスナンバーで踊り続けよう くだらない事はたくさんあるけど 誰かが決めたステップなんて関係ないんだ デタラメでいいや カッコ悪くたっていいよ そんな事、問題じゃない キミの事を悪くいうヤツは豆腐にぶつかって死んじまえ」

…多少、過激ではあるが、この歌詞の中に、僕は今の鹿児島に必要な様々な意味を感じている。
誰かが決めたステップ(固定観念や価値判断)を真似て踊るより、デタラメでもまず自分のステップで踊ろうとする姿勢…己を貫く心の強さ、そしてそれらを容認し、育もうとする空気…それらが大事なのだと思う。
その方が鹿児島らしく、本来、持っていた気質なのではないかと思う。
…確かに人と違う事をすると目立ち、悪く言われる事もあるかもしれない。が、言うだけで何も行動しない方が余程、カッコ悪い。そんなくだらない価値観を僕は否定する。

…元々、薩摩には「人をもって城をなす」という言葉があり、立派な城を作るより、人材育成に力を注ぐという気風があった。
そうした風土は最早、失われ、都会と迎合し、画一化された価値観になっていったのだろうか?
今の鹿児島には、突出すると「熱いね」と言ってどこか揶揄するような空気が作られているようにも思える。
狭い視野の中で、今、皆が感じているのは肯定ではなく、鹿児島への否定となっている気がする。 
人は他者から肯定される事で自らを肯定し、成長していく…それと同じく、人も街も自らを肯定し、成長していかなければならない。

自らのアイデンティティの一部として、鹿児島を肯定し、流行りに流されるだけではなく、好奇心を持って自分の個性を伸ばす努力が必要なのだと思う。
 そして大人達はその感性をより大きく育ませるよう見守っていかねばならない。
…そうして育まれた「人」や「感性」は多様性を生み出し、やがて新しい鹿児島の文化を作って行くだろう。

恐れる事はない。デタラメでもいい。自分のステップを好きに踊ればいいのだ。それが未来に繋がっていくのだから… そう、かつての先人たちのように…

【続く】【under's high vol,2 2007.5月発行号より抜粋)

TEXT BY CHABIN.

鹿児島再生論 vol.1

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鹿児島の繁華街「天文館」映画館が無くなり、タワーレコードも姿を消した…
あとに残り、増え続けているのは、お手軽な娯楽施設だけだ。
鹿児島独自の街の姿は既に無くなり、どこにでもある街へと姿を変えた。

文化の無い街… そう評すれば良いだろうか?
これも「格差社会」の1つの弊害であろうか?
今、経済面での格差が騒がれているが、真に恐ろしいのは、経済の格差だけではない。
引いては、地域の格差になり、それが文化の格差、そして人の品格としての格差が広がっていく事なのだと思う。

すなわち、格差の「負の連鎖」だ。
鹿児島の文化の衰退は、この流れを如実に表しているような気がする。
文化とは、人の感性の集合体ともいえる。文化が低下する事は人の心が貧しくなっていく事に他ならない。文化の低下=活気の低下ともいえる。

感性、多様性…可能性を持った人たちが増え、育まれる事により、そこから様々な文化が派生し、発展していく…活気とは、物ではなく、人の力で生み出される。

これまでのように、ただ、人が差し出すもの…大資本による娯楽や施設といったものを口を開けて待っているより、自ら活気を生み出す強さや感性を育んでいかねばならないと思う。

「人」を育み、感性を発展させていく事…まず、そこから鹿児島の再生が始まる気がするのだ…

 【続く】 TEXT BY CHABIN.

【under's high vol,1(2007 2月発行号)より抜粋】




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