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アーカイブ【under's high vol.14 アートとイラストレーションの危険な関係】

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under's high vol.14 アーカイブ「アートとイラストレーションの危険な関係」




■アートとイラストレーションの危険な関係

井原慶一郎(以下、I) アートとイラストレーションの関係というのは、これまでにも何度か話題になったのですが、テーマとして取り上げたことはありませんでしたので、今回の対談ではこの問題について考えてみたいと思います。アートとイラストレーションの違いについて改めて説明してもらえませんか。

大寺聡(以下、O) 明確な違いは、お金の流れが一番わかりやすいと思います。例えば、アートだと五万円を得るためには、1人の人に直接原画を売って、その対価として五万円をもらうわけですけど、イラストレーターの場合は情報料として、例えば5万部刷られている雑誌だと五万人の読者から一円ずつもらうという考え方で、情報自体を5万人に与えるという仕事なんですね。ですから、原画はこちらに残ります。

I クライアントの要請で描く、あるいは自由に描くという点ではどうでしょうか。小山登美夫の『現代アートビジネス』(アスキー新書)なかで、小山氏の「奈良さんの絵はイラストとどう違うの?」という質問に対して奈良美智が「僕は描きたいものしか描かないよ」と答えたというエピソードが紹介されています。

O アーティストが考えるイラストレーションというのがそういう言葉になってしまうのは理解できますけど、イラストレーターの立場としては、自分で描きたいものはもちろんあって、それを社会の仕組みにのせる部分が快感になっているということなんです。
だからリクエストが相当細かい部分まで入ってくることもありますけど、そこに自分の感性をのせるところで楽しんでいます。いくらクライアントの要望で描いたものだとしても、絵ですから、自分の世界観が投影されるわけです。そういう意味では、僕も描きたいものだけを描いているという意識はありますけどね。

I 大寺さんはクライアントの要請でイラストを描く一方で、ギャラリーで作品を売るという経験もされていますよね。そこに意識の違いはありますか。

O 僕の場合は、イラストレーションとして引き受けた場合のギャランティから金額を割り出しています。適正価格なんですよ。野菜の値段と同じで、一年にこれだけ作ってこれだけ売れば生活できるという値がある程度は決められているんですよね。法外な値段もつけないし、安売りもしない。経験値から割り出します。

I 海外の展覧会(2007年の「サツマティック」展)での反応はいかがでしたか。

O ニューヨークの人の見方は、とにかく真剣です。テクスチャーだったり、モチーフの描き方だったり。たぶん買い付けにきた人たちもいたと思うんですけど、そういう視線を感じましたね。

I 美術品としての見方ですね。前掲書でも明らかなように、アートというシステムを支えているのは一点しかないという希少性ですよね。どんなに素晴らしい作品でも多数存在していればアートにはならない。
一点しかないからこそ、多くの人が欲しいと思えば、それこそとんでもない値段が付くわけです。
また、ペインティングとドローイングの区別もありますね。アート市場で圧倒的に価値が高いのはもちろんペインティングの方で、耐用年数が長いというのがその理由でしょうけど、おそらく制度的な理由もあって、安定した市場には、喩えるならドルのような基軸通貨が必要で、ペインティングがその役割を担っています。
実際に、このくらいの経歴だったら、何号いくらというような価格表のようなものもありますからね。ペインティングの価値を高めておけば、ディーラーもコレクターも安心して取引できます。若い人がアートで生活していこうと思ったら、やはり油絵ということになるのかな。

O どうなんでしょうね。逆にイラストレーターになりたいという若者に対しても「こうすればいい」と言いづらい時代に入ってきていますから。僕の若い頃には、それまで業界を支えてきた人たちの方法論があって、営業したり経験を積むことで、いくつかステージが見えていて、階段を上ることができたのですが、今はそういうものが崩壊している気がするんですよ。多分アートも同じ状況ではないでしょうか。これが正攻法、というものが見えにくい時代です。

I アートの価値を決定しているシステムには、いくつかの要素があると思うのですが、まずアートを売る人(ギャラリストやアートディーラー)がいて、アートを買う人(コレクターや一般人)がいます。
それから、アートを展示したり、パーマネントに収蔵したりする美術館(キュレーター)があって、最後にこれらを取り巻く美術雑誌などのメディア(記者、編集者、評論家)があります。これらがいわばコングロマリット(巨大な複合企業体)を形成していて、日本では間違いなく東京を中心に動いています。鹿児島でいくらいい作品を作っていても、このシステムに受け入れられなければほとんど価値が認められないという現状があります。

O 僕もイラストレーション業界の中心にいる人とやり取りをした経験はあるので、若い人に「東京の扉をたたきにいけよ」とアドバイスをしたことはあります。ですが、そうした中央集権的なシステムが日本をダメにした原因だと思っているので、鹿児島は鹿児島でやり方を見つけ出してほしいという気持も半分はあるんですよね。村上隆が美術界は西洋のOSで動いているから、それにのらなきゃだめだと言っているのと同じで、鹿児島が東京のOSにのるのかという…。

I そこはひとつの選択ですよね。少し話題は変わりますが、商業的あるいは大衆的だと思われていた作家が後から見るとアーティストとして認められるということがありますよね。
例えば、漫画のオリジナル原稿も、ものによっては立派なアート作品として展示・売買されています。そういう意味では、少しずつパラダイムが変わってきていて、一昔前にはアートと呼ばれていなかったものがアートとして認められるというケースが最近増えてきているように思います。
イラストレーションもアート市場に入ってきています。『美術手帳』(2010年1月号)のイラストレーション特集(「日本イラストレーション史」)はその表れではないでしょうか。

O 僕が若い頃には自分でアーティストと名のってはいけないという空気があったんですよね。
アーティストというのは誰かが最終的に評価してくれるという意味で存在する肩書きであって、自らアーティストと名のってやっていくのは最近の傾向なのではないでしょうか。
僕はダヴィンチやミケランジェロは今でいえばイラストレーターだと思っています。やはりクライアントがいて、注文されて描いているわけですから。やっていることは今の油絵を描いている人とはずいぶん違います。
宗教的な説明図だったりとか、百パーセント自分の世界を表現したわけではないと思います。
アンディ・ウォーホルもイラストレーターとして成功した後で、アート界の重要人物になりました。僕が影響を受けた人のなかで、最初からアーティストという人はあまりいないんですよね。横尾忠則も、ある時、画家宣言をして、デザイン界を去りましたから。そういう流れの方が僕は理解できます。
イラストレーションの表現は始めから外を向いています。感覚的な言い方になってしまいますが、魂の叫びとかじゃないんですよ(笑)。イラストレーションを教えている生徒たちにも「自分のために描くな」という話をしています。

I 最近美術館でも絵本の原画を扱ったり、アートとイラストレーションの区別はなくなってきていると思います。アートの原義は「技術、技能」ですから、非常に技術の高い漫画やイラストレーションがアートとして認められるのは当然の流れです。

O 僕が大学時代に読んだ『ポップ・アート』(ルーシー・R・リパード編/宮川淳訳・紀伊国屋書店)という本に「1958年にL.A.のはずれで産出される安物のSFの中に今日の小雑誌よりも遙かに高次の想像力が存在することは考えうる事である。(中略)現代の芸術家はこのことを考えているのだろうか」と書かれていました。こうした言葉に僕は支えられてきたんですよね。いわゆる「お美術」的な作品よりも、大衆向けの安っぽいSF映画の方が想像力がきちんと働いているんだっていう考えに励まされてきたんです。

I いくらメディアが前衛的な作品を称揚したところで、大衆的な支持がなければ、マーケットに根付かないと思うんですよね。時代のフィルターを通せば、継続的に大衆に支持されている作品が最後には残っていくと思います。美術史を形成している作品は実は大衆的な支持も高いんです。

O 多くの人に支えられるのか、お金持ちの財布を狙うのか(笑)。究極的には、どちらを選ぶのかだと思いますね。スタジオジブリもひとりひとりにチケットを買ってもらって成り立っているわけですから。僕もポップカルチャーのなかで活動していきたいんです。

(2010年7月6日)



【プロフィール】

井原 慶一郎
(いはら・けいいちろう)
1969年生まれ。
http://ecowww.leh.kagoshima-u.
ac.jp/staff/ihara/toppage.html
1998年・広島大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、鹿児島大学法文学部准教授。専門は表象文化論。著書に『英文学の地平/テクスト・人間・文化』(共著、音羽書房鶴見書店、2009年)、訳書にアン・フリードバーグ著『ウィンドウ・ショッピング/映画とポストモダン』(宗洋・小林朋子との共訳、松柏社、2008年)がある。


大寺 聡
(おおてら・さとし)
1966年生まれ。
http://www.ohtematic.com/
1990年・武蔵野美術大学デザイン学科卒。以降フリーイラストレーターとして活動。2000年に東京から鹿児島・日置市に移住。タラデザイン専門学校でイラストレーションの非常勤講師を務める。

アーカイブ【under's high vol.14 crack floor】

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under's high vol.14発行にご協力頂いたお店のご紹介です。

【crack floor】(クラックフロア)



【取り扱いブランド】
BLANK
TEST
Transvestite
ANTI SYSTEM PRODUCT
F.E.A.R
STOF
ACHIEVERS
bedsidedrama
STORAMA
etc...

入荷したアイテムはコーディネートと一緒にブログで紹介しています。

【crack floor blog】 

HPのonlineshopでは通販も出来ますので、こちらもご覧下さい。

【crack floor onlineshop】 


鹿児島市照国町14-22 佐土原ビル1F
TEL 099-210-7266
営業時間 OPEN11:00 - 20:00

(クラックフロアmap) 

アーカイブ【under's high vol.14 マイノリティ・リポート/堀江大介】

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under's high vol.15の発行も近づいてまいりましたので、現在、配布しておりますvol.14のアーカイブを掲載していきます。



【マイノリティ・リポート】

路上をステージに唄い続ける「堀江大介」さんにお話を伺いました。

Under’s high(以下U)路上でライブを始めようという最初の思いってどういった感じだったのでしょうか?

堀江大介(以下 H)表現する場所が欲しかったからですね。強い気持ちさえあればやれると思ったんです。

最初は、僕という存在を見て欲しいと思っていたのですが、段々と変わってきて、今はシンプルにメッセージを伝えていきたいって思うようになりました。

路上ってライブハウスと違って、お金を払って聴きにくる場所ではないので、誰に向けて唄っているって感じでもないんですが、だからこそ、たくさんの知らない人や興味が無い人にも聴いてもらえるし、伝わる事があるんじゃないかなと思っています。

U―前、通りがかりに堀江さんの唄を聴いた時、ある種の「生々しさ」を感じたんですよね。ある意味、「空気を読む」という事が求められる今の時代の流れからすると真逆をいってるのかなと思いました。

H―そうなのかもしれないですね。でも、やるからには本気でやらないと何も伝わっていかないと思うんです。勿論、バカにされたりする時もありますけど、分かってくれる人は分かってくれるのかもしれないと思うし、自分のありのままを表現していかないと路上で唄う意味も無いんじゃないかなって思っています。

U―堀江さんにとって、「路上」とは?

H―「原点」ですね。元気をあげたいと思って唄っているつもりでも逆に元気を貰っているんです。仕事で疲れて、今日は気が進まないって時でも路上に出るとパワーが出てきます。どんなに小さな事でも何かが起こるし、1人でも聴いてくれたら嬉しいし、1日が素晴らしく感じるんです。

バンドもやっていて、色々な場所でライブやるんですけど、やっぱり僕には路上が必要なんですよね。

伝えたい事は変わっていくだろうけど、これからも強い気持ちを持って、路上で唄い続けていきたいと思います。

「堀江大介」週3回ペースで、路上で唄う。(不定期)場所はタカプラ側アーケード付近。


【堀江大介・天茶会ライブ】

【堀江大介・SR HALL/夢いっぱいの愛を世界に運ぶんだ】

アーカイブ【under's high vol.15 ・thee old circus】

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under's high vol,14発行にご協力いただいたお店のご紹介です。

【thee old circus】(ジ・オールド・サーカス)



2005年よりスタートしたブランド。
架空と現実の、その隙間のシチュエーションの中から生まれるデザインとアイテム群。
額へ入るモノ作りではなく、着込まれてボロボロになり最後は原形の欠片をも残さずに消えていくようなアイテムへの望み。
華やかさと、喧騒的でありながらその表の顔と帰る場所を持たず、ひとときの余韻を残しその地を
去っていくはかなさ。
モノ作りに対して自分達の立ち位置をサーカスに照らし写し、ブランドネームとして掲げている。


【thee old circus HP】

【thee old circus blog・ヒトリゴト歩き】

【shop/Garage EDEN】


※東京の洋服ブランドでありながら、鹿児島のフリーペーパーであるアンダーズ・ハイに広告ページを出して頂きました。本当に感謝いたします。

thee old circus【2010-11 winter style photo】







アーカイブ【under's high vol.14 noseglass】

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under's high vol,14発行にご協力いただいたお店のご紹介です。

【NOSE GLASS】



ロンドンストリートカルチャー、カオティックなモードスタイルなど提案しているSHOP「ノーズグラス」。

〔取り扱いブランド〕
●JULIUS(ユリウス)
●DIET BUCHER SLIM SKIN(ダイエットブッチャースリムスキン)
●OR GLORY(オア・グローリー)
●666
●thee old circus(ジ・オールド・サーカス)
●aquvii(アクビ)※アクセサリー、雑貨。
●NEVER TRUST(ネバートラスト)
●sage de cret(サージュ・デ・クレ)
etc…

随時、入荷したアイテムは【ノーズグラス入荷情報】にてご覧になる事が出来ます。良かったら見てみて下さい。

【ノーズグラスonlineshop】 

鹿児島市照国町15-19 1F(照国、中原別荘横)
11:30~20:00.
tel 099-224-8106.
male/noseglass@po4.synapse.ne.jp


(nose glass/map※中原別荘横)
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【crack floor】(クラックフロアHP・wear&zakka) 


【hexe room】(ヘキセ・ルームonlineshop/wear&zakka) 
         (ヘキセ・ブログ) 

【 recife 】(レシフェ・drink&food&music) 

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【藤 宝石】(blog/original・jewelry) 

【japonica7】(ジャポニカセブン・古家具再生・制作) 
        (ジャポニカセブン/ブログ) 

【NOSE GLASS】
(ノーズグラスonlineshop・wear&zakka) 
(入荷情報) 

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under’s high.

鹿児島の人や歴史、文化を独自の視点で切り取っていくフリーペーパー「アンダーズ・ハイ」

6ヶ月に1度の季刊発行となります。次号(vol.22)は、2013年11月2日(土曜日)発刊予定となっております。

【under's high】
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