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アーカイブ【under's high vol.16 コラム・it happened one night】

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「it happened one night」

平日の夜。職場の英会話サークルへ寄った帰り道。ちょっと買うものがあったで近くの大きなスーパーまで歩く。
すると、入り口近くの自転車置場に座り込んでいる女子高生。携帯のライトで地面を照らして何かを探している様子。
「落し物ですか?」
「おばあちゃんが指輪を落としたそうです。」
すぐ横のベンチにちょこんと座っているおばあちゃん。小柄でかなり高齢。傍らにはたくさんの買い物袋。
「何色ですか?シルバー?ゴールド?」
おばあちゃんいわく、ゴールドで宝石は付いていないとの事。荷物を持ち変えるとき指から抜けてしまったらしい。
自分もコンタクトを落として見つけてもらった経緯があるだけに、これは見捨てられない。
携帯のライトを片手に地面に這いつくばる。
探しているのは、高校生と僕の2人だけ。周りのお客さんはどんどん素通りしていく。
ヒールのコツコツという靴音にふと目を上げると、そこを歩いていたのは、もう2度と会うことのないと思っていた人…
突然の出来事に何も考えることも出来ず、膝をついたまま、じっと顔を見つめていた自分。
その人はまったく気づくこともなく、通りすぎていく。
時間にして、ほんの5秒ほど。後ろ姿は見なかった。ただ、それだけのこと。
もし、その夜その場所で、おばあちゃんが指輪を落としていなかったら、きっと姿を見かけることもなかっただろう。
指輪はあった。僕が発見。落とした場所から遠くまで転がっていた。
ゴールドと言っていたけど、かなりの年代モノなのか、見つけた僕にはシルバーにしか見えなかった。
探すときに想像していたイメージより、ずっと繊細でシンプルなデザインのリングだった。
おばあちゃんに渡すと1度、大切そうにハンカチで包み、汚れを落としてから、左手の薬指にはめていた。
そのおばあちゃんにも、親切な女子高生にも、そしてあの人とも、もう一生、会うことも話もすることもないんだなと思った。
ほんの一瞬だけの邂逅。
僕自身あまり運命なんて信じない人間だけど、でもふと考えると僕らの人生は毎日が偶然の積み重ねでしかないんだよね。
みなさんは不思議な偶然に巡りあったことがありますか?

text by yappy.



アーカイブ【under's high vol.16 コラム・中途半端な気持ちじゃなくて】

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中途半端な気持ちじゃなくて>>

およそ15~20年くらい前…一般的にはとうに思春期を過ぎているはずの歳の頃…オレは『音楽』が嫌いだった。というより『音楽』が好きと認めるのが嫌だった。
スモーキー・ロビンソンのR&B(というか、オレの知ってるのは『ビートルズの』だが)『YOU REALLY GOT A HOLD ON ME』…そこに歌われた"I don't want you, but I need you"というフレーズ…オレにとって『音楽』『ロック』ってのは正にこれだった。好きじゃないけど欲しくはないけど、ただただ必要なんだよ、と。
日がな一日レコードやCDを聴き狂い、楽器を持ち、歌い、一時はそれがなくちゃ生きられないとすら思い込んでいたオレは、「音楽好きです。」とか「何でも聴くよ。」などと臆面もなく言えるヤツや、履歴書に「趣味・音楽鑑賞」などと簡単に書けるヤツと、どうしても同じでありたくなかった。オレにとって、『音楽』や『ロック』とは『好き』になるものじゃない、特別な何かだった。

しかし、それから歳をとるごとに色々な事を知るようになる。見えなかったものが見えるようにもなる。
オレは特別な人間なんかじゃなかった。27歳を過ぎても死ななかった。ジョニー・ロットンは太ったペテン師だった。ラモーンズは宇宙人でも不老不死でもなかった。そして『音楽』も『ロック』も、何ら特別な力を持ったものではなかった…。

そんな当たり前のことを受け入れて、初めて気付くこともあった。オレは何者でもない、しょぼくれた只のオッサンだけど、それがどうした、ロックミュージックを奏でるこの瞬間、誰よりも気持ちいいぜって今確かに感じるんだ。
『音楽』も『ロック』もただそこに在るだけで、別にこちらに何も求めちゃいない。だから葛藤する必要なんてない。葛藤するのが『ロック』だけれど、その先にもまた在るのが『ロック』であり『音楽』だった。
葛藤の末にオレは今、不惑を前にして言える。「僕、パンクロックが好きだ。」

Text by SG(snub nose)

アーカイブ【under's high vol.16 コラム・ネクストパラダイム】

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「ネクストパラダイム」



かつてあれだけ街に溢れかえっていたカンカン帽達はどこへ消えたのか。
クローゼットの奥にしまわれたのだろうか。
燃えるごみの日に出されてしまったのだろうか。
メディアによって爆発的にもてはやされ、売り出され、一気に使い捨てられる。
ビジネスとしての成功例である反面、ファッショントレンドの冷酷さを見た気がした。
仕事にしてしまうくらい洋服が好きな自分としては、やはり悲しく、つまらなさを感じる。

2011年の春夏コレクションを最後に引退を発表したzuccaデザイナー小野塚氏の言葉には考えさせられた。(以下一部抜粋)
『環境が変わり過ぎた。35年前には、手がつけられないような熱気や着ることへの喜びがあった。今はこれだけ服があふれる中で、何ができるのか。 地球資源が減少する中でも、安くて早い大量の過剰な刺激が求められている。そんな仕組みやスピードの中での仕事に興味がなくなった。ファストフードやファストファッションで育った子が後に求めるものまでは責任が持てないし、自分の仕事ではない気がする。』

同ブランドで20年以上に渡り、最前線で活躍してきた氏の言葉には重みがある。
作り手や売り手側はもちろん、買う側である消費者にとってもドキッとするような言葉である。
ファッションに限らず、過剰で消費的な手法がナンセンスであることは、もはや多くの人が感じ始めている事だ。
加えて、物と情報で溢れ、それさえも当たり前すぎて退屈になった今、 次に求められるもの、求めるべきものは何なのか。
氏の言葉を読んで、ゆるやかなカウンターが本当に起り始めているのを感じた。

速さや安さ、便利さを追求した結果に失われてしまった個性や本質、作り手の思いやコミュニケーション、歴史や背景が、再び大切にされるような時代がやって来るのではないだろうか。
路地裏の商店に小さなバー、職人や農家からストリートミュージシャンまで…

思いを秘めたインディーでマイノリティなすべてのみなさん。さぁ、出番ですよ。


Text by オーサコ(crack floor)

アーカイブ【under's high vol.16 on the road】

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